ビールの購買をためらう女性に関する調査
第1報「ビールをためらう女性とその心理について」

調査レポート

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はじめに

 

ビール×女性のイメージ

  昨今、twitterやfacebookを中心に様々なSNSでビールと女性に対するつぶやきを見聞きすることが出来る。その中で、ビールには「男性的」なイメージが、ビールを飲む女性には「酒豪」「女子力が低い」といったイメージが定着しているように感じられる。実際に会ってお話を聞いても、どうしても「男性的」や「酒豪」といったイメージがあると回答した方は少なくない。

過去の調査での結果

  20代の「ビールを飲みたくても飲めない女性」に対するビールへのイメージの調査(駒澤大学菅野ゼミ2010)から、ビールを飲みたくても飲めない理由として、男性的なイメージが付いていることから、特に初対面の人との飲み会においては自己呈示欲求が高まり、ビールを頼まないことなどが分かっている。

WEBサイト「ビール女子」での反響

  また、株式会社京橋ファクトリーでは「ビール女子」というWEBサイト( http://beergirl.net )を運用しており、そのなかで20代の女性ばかりではなく30代、40代の女性にも支持を得ている。そのため、周囲へ与えるイメージを気にしてビールの購買をためらうという行動は20代に限定された話ではないのではないかと感じた。

「ビール女子」とは 「ビール女子」( http://beergirl.net )は、ビール好きの女性のための情報サイトおよび女性コミュニティである。ビールの種類を 5 人の女子キャラクターで擬人化した『ビール女子キャラクターズ』、ビールに合うおつまみレシピ『ビール女子kitchen』、女性向けのビールのおいしいお店情報『おすすめ店舗』、ビールに関わる女性をインタビュー形式で紹介する『ビール女子インタビュー』など、女性がよりビールを楽しむためのコンテンツを通して、ビールの魅力をわかりやすく、楽しく発信している。また、よりおしゃれで楽しいビア・ライフを提案するため、ビア・ピクニックやビール女子座談会など、リアルの場でのイベントも行なっている。女性にとってよりビールが楽しくなるよう、コミュニティを通じてビア・ライフスタイルを提案している。

 

本調査の概要

  今回の調査では全国の20代~40代女性(4884人)に対し、「周囲に与えるイメージを気にして、ビールの購買をためらう女性」の世代別の比率、その状況や理由などについて調査し、数回に分けて報告していく。 まず、全被調査者に対し「日常的にお酒を飲むか」「一度の機会でビールを飲む量はどれくらいか」「相手や周囲に与えるイメージを気にしてビールを飲むことをためらった経験があるか」の3項目について調査した。その中で「日常的にお酒を飲む」「ビールを飲む」「相手や周囲に与えるイメージを気にしてビールの購買をためらった経験がある」と答えた500人に対し、ためらった理由、ためらった際のシチュエーション(いつ、どこで、誰と)、ビールに対するイメージ、ためらった際に代わりに頼んだ飲み物を調査した。調査方法はインターネットによる無作為抽出、調査日時は9月15日、調査会社は株式会社ミクシィ・リサーチを利用した。 本報告書では、ビールの注文・購入といった飲む機会全般を便宜的に「購買」「飲む」と表現し、表題の「購買」に関しても飲む機会全般のことを想定している。また、20代~40代女性を便宜的に「女性」として説明していく。世代間の相関の検定は特に注釈がない場合、Fisherの直接確率検定を使用し、有意水準を1%とし、p値のみを示した。 結果として、若年層ほど「ビールの与えるイメージを気にしてビールを飲むことをためらった」経験があることがわかり、その理由は世代によって変化することが伺えた。 この調査では、ビール業界においてこれまでメインターゲットとされてこなかった「ビール女子」の嗜好性を探ることで、縮小傾向にあるビール業界の新たなマーケットの拡大・発展に寄与することを期待している。

Vol.1 ビールをためらう女性とその心理について

  「ビールの購買をためらう女性に関する調査」を行うにあたり、まず初めに「ビールをためらう女性とその心理について」を調査した。女性のビール人口と「相手や周囲に与えるイメージを気にしてビールの購買をためらった経験がある」割合、そしてその理由を調査した。 今回の調査内容は以下の4つである。   ①「日常的にお酒を飲む」女性の割合 ②「日常的にお酒を飲む」女性の中で「日常的にビールを飲む」女性の割合 ③「日常的にビールを飲む」女性の中で「相手や周囲に与えるイメージを気にしてビールの購買をためらった経験がある」女性の割合 ④「相手や周囲に与えるイメージを気にしてビールの購買をためらった」理由   ここから、女性に対するビール市場の現況とビールの購買をためらう層の性質や心理を探ることを目的とした。

日常的にお酒を飲む女性は約6割

1  インターネットを利用している20代から40代の女性4884人に対し、「日常的にお酒を飲むか」調査した。また、「飲む」と回答した被調査者には週に何日程度お酒を飲む日があるかを調査した。 「日常的にお酒を飲むか」調査した結果、お酒を「飲む」女性の割合は20代女性が57.8%で最も少なく、世代が上がるにつれ漸増しており(Fig.1-1)、40代では68.1%となった。20代と40代では1割程度の差が確認できた。世代とお酒を飲む割合には相関関係があることをFisherの直接確率検定を用いて確認した(p=1.340e-07)。 「日常的にお酒を飲む」と回答した女性に対して、お酒を飲む日が週に何日程度あるかを質問したところ、「ほぼ毎日」「週に3日以上」「週に1~2日」飲む割合は世代が上がるほど増加し、「月に数回以下」の割合は世代が上がるほど減少した(Fig.1-2)(p=1.687e-07)。 2   若年層になるにつれお酒を飲むこと自体が漸減傾向にあり、また、お酒を飲む女性の中でも、月に数回 しか飲まないという“ライトな”層が増加していることが明らかになった。

女性のビール人口は若年層ほど低い

3  次に、「日常的にお酒を飲む」と回答した女性に対し「日常的にビールを飲むかどうか」を調査した。また、「飲む」と回答した被調査者には「一度の機会で飲むビールの量」を調査した。 「日常的にビールを飲むか」調査した結果、ビールを「飲む」割合は20代が最も低く59.3%、40代が最も高く80.4%となった(Fig.1-3)。世代が上がるにつれ増加し(p=2.2e-16)、40代は8割以上が飲むと回答したのに対し、20代では6割を切った。 ビールを「飲む」と回答した女性に対して、「一度の機会で飲むビールの量」を調査した結果、「1杯程度」と回答した被調査者はどの世代でも変わらず55%程度となった。「2杯程度」と回答した割合は、30代(28%)と40代(27%)が同程度、20代(22%)がそれより5ポイント程度少ない結果となった。「3杯以上」飲むと回答した割合は20代が23%と最も高く、30代、40代は共に18%であった(Fig.1-4)。 4   若年層ほどビールを飲まない傾向が確認された。しかし20代では「一度の機会でビールを飲む量」が「3杯以上」の割合が高かったことから、ビールを大量に消費する“ヘビー”層は根強く残っていることがうかがえる。また、「1杯程度」の割合が世代を通して変わらなかったのは、初めの一杯は「とりあえずビール」という層が世代を問わず一定の割合でいるからではないかと推測される。

イメージを気にしてビールを飲むことをためらう割合は若年層ほど高い

5  「日常的にビールを飲む」と回答した女性に、「相手や周囲に与えるイメージを気にしてビールを飲むことをためらった」経験があるかどうかを質問した。 「ためらった経験がある」割合は20代が最も高く28.0%、40代が最も低く20.7%となり、世代が上がるにつれ減少していた*1(Fig.1-5a)(p=0.02832)。どの世代でも2割以上が「ビールを飲むことをためらった経験がある」ことが示された。 また、特に「ビールが好き」な被調査者のみの回答を抽出したところ、世代間の差がより顕著になり(p=3.514e-05)、20代では約4割が「ためらった経験がある」と回答したが、40代では2割程度と20代の約半分となった(Fig.1-5b)。 「ビール好き」に限定した結果と限定していない結果を比較すると「ビール好き」に限定することで、「ためらった経験がある」割合が20代では増え(28.0%–39.0%)、30代では微増し(23.7%–24.7%)、40代では微減(20.7%–19.1%)となった。20代ではχ2検定による有意差*1*2が認められたが、30代、40代では有意差は認められなかった*3。 「イメージを気にしてビールを飲むことをためらう」女性は全ての世代で5人に1人以上となり、若年層ほど高い傾向が見られ、20代では4人に1人がためらった経験を持っていた。また、「ビール好き」に限定することで世代間の差が顕著になり、40代では「ビール好き」の中で「イメージを気にせず飲む」割合が8割を超えていた。20代では「ビール好き」が特に「飲むのをためらっている」ことが判明した。 *1:有意水準5% *2:20代 X-squared = 5.9809, df = 1, p-value = 0.01446 *3:30代 X-squared = 0.2030, df = 1, p-value = 0.6523 、40代 X-squared = 1.2971, df = 1, p-value = 0.2548

イメージを気にしてビールを飲むことをためらう割合は結婚に左右されない

6  前ページの結果の「イメージを気にせずビールを飲む」女性において世代が高くなるにつれ増加した(Fig.1-5a, b)要因として、結婚をすることで自己呈示欲求が低下し、イメージを気にすることなくビールを飲むようになる可能性が考えられた。既婚率は世代とともに上昇していたため(Fig.1-6)、この可能性は高いように感じられた。

  そこで前ページの質問「イメージを気にしてビールを飲むことをためらった経験があるか」の結果を世代別ではなく「未婚」「既婚」で分けた。 結果、「未婚」22.0%、「既婚」22.8%となり、「飲むのをためらう」割合は「未婚」「既婚」に関わらないことが示された(Fig.1-7a)(p=0.6924)。ビール好きに限定しても結果は変わらなかった(Fig.1-7b)(p=0.2461)。 「ビール好き」に限定した結果と限定していない結果を比較すると「ビール好き」に限定することで、「未婚」では「ためらった経験がある」割合が微増し(22.0%–24.1%)、「既婚」では微減(22.8%–21.2%)したが、どちらもχ2検定による有意差はなかった*4。 「イメージを気にしてビールを飲むことをためらう」割合は世代間では関係があったが「未婚」「既婚」には関係がないことが明らかとなった。したがって、既婚率が「ためらう割合」の世代間の差に影響を与えていないことが示された。 *4:未婚 X-squared = 1.2796, df = 1, p-value = 0.2580 既婚 X-squared = 1.0297, df = 1, p-value = 0.3102

酒好き、酒飲みというイメージがビールを敬遠する理由?

  「ためらう割合」の世代間の差がどこにあるのかを理解するために、先の質問で「イメージを気にしてビールを飲むことためらった経験がある」と答えた女性にその理由を調査した。(複数回答可) どの世代でも20%以上だったのは「酒豪・酒が強いと思われそう」「相手や周囲が頼まない」「酒好きと思われそう」の3つだった。また、世代が上がるにつれ増加傾向にあるものは「オシャレなお店では似合わない」で、減少傾向にあるものは「酒豪・酒が強いと思われそう」「女子力が低い・男っぽいと思われそう」「買うときに恥ずかしい」「安っぽい」「パッケージがださい」の5つであった(Fig.1-8a)。 7   ビール好きに限定してみると、全ての世代で20%以上だったのは、限定しなかった場合と同様で「酒豪・酒が強いと思われそう」「相手や周囲が頼まない」「酒好きと思われそう」であった。20代では「女子力が低い・男っぽいと思われそう」が特に多く4割を超えた。30代、40代では「相手や周囲が頼まない」「酒好きと思われそう」が多く30%以上となった。 ビール好きに限定することで、「オシャレなお店では似合わない」が世代が上がるにつれ増加傾向ではなくなり、この項目ではビール好きに限定することで20代(11.7%–13.9%)30代(14.0%–17.0%)は比率が上がり、40代(14.9%–11.4%)のみ下がった。また、「買うときに恥ずかしい」は30代(6.4%–4.5%)が大きく減少したため減少傾向ではなくなり、減少傾向となるものは「酒豪・酒が強いと思われそう」「女子力が低いと思われそう」「安っぽい」「パッケージがださい」の4つとなった(Fig.1-8a)。 8   ビール好きに限定してみると、全ての世代で20%以上だったのは、限定しなかった場合と同様で「酒豪・酒が強いと思われそう」「相手や周囲が頼まない」「酒好きと思われそう」であった。20代では「女子力が低い・男っぽいと思われそう」が特に多く4割を超えた。30代、40代では「相手や周囲が頼まない」「酒好きと思われそう」が多く30%以上となった。 ビール好きに限定することで、「オシャレなお店では似合わない」が世代が上がるにつれ増加傾向ではなくなり、この項目ではビール好きに限定することで20代(11.7%–13.9%)30代(14.0%–17.0%)は比率が上がり、40代(14.9%–11.4%)のみ下がった。また、「買うときに恥ずかしい」は30代(6.4%–4.5%)が大きく減少したため減少傾向ではなくなり、減少傾向となるものは「酒豪・酒が強いと思われそう」「女子力が低いと思われそう」「安っぽい」「パッケージがださい」の4つとなった(Fig.1-8a)。   酒好きに限定しても傾向は大きく変わらず「酒好きと思われそう」「酒豪・酒が強いと思われそう」「相手や周囲が頼まない」が全世代で高く、20代はそれに加え「女子力が低い・男っぽいと思われそう」「安っぽい」というイメージも他の世代に比べ高い結果となった。対して30代や40代は「相手や周囲が頼まないから」が20代に比べて高かった。

20代ビール好きは女子力が低い・男っぽいという印象が気になる?

  20代は、全体では1位「女子力が低いと思われそう」と2位「酒好きと思われそう」が3割を超え、酒好きに限定すると1位「女子力が低いと思われそう」が44.4%、同率2位で「酒好きと思われそう」「酒豪・酒が強いと思われそう」が30.6%となった。 20代は特に「女子力が低いと思われそう」と回答した被調査者が多く、そのうえビール好きに限ることで全体での割合から10ポイント以上増加した(31.7%–44.4%)。また、「女子力が低いと思われそう」を選択した被調査者は「酒好きと思われそう」や「酒豪・酒が強いと思われそう」も選択している割合が高く、関連性が強かった。逆に、この3つのどれかを選んだ被調査者がこの3つ以外の項目を選ぶことは、より少なかった。ビールの購買をためらう女性に関する調査 第1弾「ビールをためらう女性とその心理について」  ここから、20代女性はビールを飲むことで「女子力が低い・男っぽい」と思われることを強く警戒していることが伺える。この傾向はビール好きに限ることで顕著になり、ビール好きのその思いは特に強そうである。 また、20代女性はビールに対して「酒好き」「酒豪」の飲み物というイメージを持っており、「酒好き」「酒豪」=「女子力が低い・男っぽい」というイメージからビール=「女子力が低い・男っぽい」と思われそうと思っている可能性が考えられる。

30代は「酒好き」と思われるのがイヤ?

  30代は「酒好きと思われそう」が4割近くに上り1位で、「相手や周囲が頼まない」が約3割で2位、「酒豪・酒が強いと思われそう」が3位となった。ビール好きに限定しても順位は変わらなかった。 1位の「酒好きと思われそう」と2位の「相手や周囲が頼まない」との間で、両方とも選択した割合は低く、関連性は弱かった。また、3位「酒豪・酒が強いと思われそう」と4位「女子力が低いと思われそう」との間には関連性が認められた。5位「オシャレなお店では似合わない」は6位以下の選択肢との関連性が強かった。酒好きに限ることで2位の「相手や周囲が頼まない」の割合(29.7%–34.1%)や5位の「オシャレなお店では似合わない」の割合(14.0%–17.0%)が増加した。 10 30代では20代と違い、「酒好きと思われ」ること自体が嫌なのではないかと考えられ、また、2位の「相手や周囲が頼まないから」や、5位の「オシャレなお店では似合わないから」から、相手や雰囲気に合わせて頼まないという迎合性(空気を読む?)も見受けられ、この傾向はビール好きの方がより高かった。 20代と同様に「酒豪」=「女子力が低い・男っぽい」というイメージを持っている人がいることが見受けられたが、ビールを飲むことで「酒豪」もしくは「女子力が低い・男っぽい」と思われると考える割合は大きく減少した。

40代は周囲に合わせようとする?

  40代は1位「酒好きと思われそう」、2位「相手や周囲がたのまない」の2つが3割程度となって他の選択肢より高い割合となった。ビール好きに限定することで、全体では2位だった「相手や周囲が頼まない」が4ポイント程度増加し1位に、1位だった「酒好きと思われそう」が2位になった。 しかし、この上位2つの選択肢の関連性は低く、1位の「酒好きと思われそう」は3位の「酒豪・酒が強いと思われそう」との関連性が強かった。2位の「相手や周囲が頼まない」は、1位「酒好きと思われそう」や3位「酒豪・酒が強いと思われそう」より4位以下の「女子力が低い・男っぽいと思われそう」「オシャレなお店では似合わない」といった選択肢との関連性が強かった。4位の「女子力が低いと思われそう」は他の世代と違い、「酒好き」「酒豪・酒が強い」といった選択肢との関連が弱かった。 ビールの購買をためらう女性に関する調査 第1弾「ビールをためらう女性とその心理について」   40代では、30代と同様に「相手や周囲が頼まない」ことが「ビールを飲むことをためらう」大きな原因となっているようだった。そこには「女子力が低い・男っぽい」というイメージ、「オシャレなお店では似合わない」といったような雰囲気が関係していることも示唆された。 「酒好き」=「酒豪」といった印象も見られ、ビール=「酒好き」「酒豪」の飲み物というイメージが定着していることも見受けられた。

Vol.1 ビールをためらう女性とその心理について

  今回の調査で、「日常的にお酒を飲む」女性はどの世代も6割前後いたが、若年層になるにつれ低下しており、「日常的にお酒を飲む」と回答したグループ内でも飲酒頻度の減少がみられた。「日常的にお酒を飲む」女性の中で「ビールを飲む」割合(ビール人口)は20代、30代、40代と世代が上がるにつれ増加していることが判った。20代のビールを飲むグループに注目すると、「一度の機会でビールを飲む量」が「3杯以上」と答えた割合が30代、40代よりも高くなり、ビール人口は減少傾向にあるものの、ビールを好んで飲む層は減少していないことが判った。 若年層のビール人口の減少はアルコール飲料の多様化など様々な背景が考えられるものの、そのなかでもビールを選び好んで飲む層は一定数おり、世代を通して減少していないことが明らかとなった。  
  また、「イメージを気にしてビールを飲むことをためらう」(以下、“ためらい”)経験率は若年層ほど高くなり、特にビール好きに限定するとその傾向はより顕著になった。“ためらい”の理由として自己呈示欲求の高まりが示されており(駒澤大学菅野ゼミ 2010)、その要因として結婚が関係していることが考えられた。しかし、未既婚と“ためらい”経験率の世代間の差との関連は認められなかった。  
  “ためらい”経験率の世代間の差がどこにあるのかを理解するために、“ためらい”経験者に対し、その理由を調査した。20代では、“ためらい”の理由として、他の世代で3位以内に入らなかった「女子力が低い・男っぽい」イメージが1位となり、この項目は「酒好き」や「酒豪・酒が強い」というイメージと関連があった。したがって、ビールには「酒好き」「酒豪」、「酒好き」「酒豪」には「女子力が低い・男っぽい」イメージを持っていることで、ビール=「女子力が低い・男っぽい」と連想している可能性が考えられる。  
  30代以降では「相手や周囲が頼まないから」が2位以上に入り、周囲への迎合性が伺えた。この項目は「女子力が低い・男っぽい」や「オシャレなお店では似合わない」といったイメージと関連があり、ここから、お店や雰囲気を重視して周りに合わせる「大人の女性」の振る舞いを感じる結果となった。しかし、40代のビール好きに限ることで「オシャレなお店では似合わない」と考える割合が減少した。これは「大人の女性」から「オバちゃん」になったのか、ビールのおいしさや奥深さに触れ、「オシャレな飲み物としてのビール」を知ったからなのかはわからない。また、ビールに対する「酒好き」「酒豪」のイメージは20代と同様にみられたが、「女子力が低い・男っぽい」との関連は弱く、お酒が好きなことや酒が強いこと自体が相手にネガティブな印象を与えると考えている可能性が示唆された。 全体を通してみてもビールには根強く「酒好き」「酒豪」というイメージが残っていた。20代ではそこから「女子力の低さ」を連想しているように見受けられたが、30代以降はそうではなかった。30代以降では、時には飲む相手や雰囲気に合わせて、飲みたいビールを我慢して他のものを頼むことがあることが想像された。 また、未既婚と「イメージを気にしてビールを飲むことをためらう」こととの関連は認められなかったが、世代別のビールに対するイメージの変化と仕事やライフスタイルの変化などが関係する可能性は考えられる。
  次節以降、世代ごとのビールに対するイメージやためらった際の具体的なシチュエーションから、今回想起されたためらった際の心理やシチュエーションの検証を行っていくこととする。

  • ビールの購買をためらう女性に関する調査 第2報

    調査レポート第2報を近日公開予定です。